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中国新聞社説は残念

中国新聞12月10日付社説は、後期高齢者医療制度廃止の先送りを支持した。旧老健制度については「現役世代の負担が重すぎるとの批判が強かった」という。「批判が強かった」のは、国民からではあるまい。なぜなら、人は誰しも老いる。いまの「現役世代」も、やがては高齢者となることを、当然知っているからだ。仮に、現在の自分の負担が重いからといって、将来の自分がいのちの問題で差別されても構わないという人は、そんなに多くないだろう。

そもそも人が生涯向き合う医療の問題を、「現役世代」と高齢者に分け、負担と給付で「世代間のバランス」を論じること自体が、現実からかけ離れている。透けて見えるのは、「応益負担」という、国民福祉とは相容れない論理だ。ここから新制度を展望しても、せいぜい「うば捨て山」の見かけが変わるだけのことになるだろう。

何より医療保険の「負担が重い」原因は、国が応分の負担をケチり、自治体や保険者と被保険者にばかり、医療給付増大のツケをかぶせる姿勢をとってきたからだ。「応益負担」の大先輩であるアメリカは、先進国中最も高水準の国民医療費にひしがれ、同時に大量の医療難民を生み出している。

多くの世論調査は、人々の政治に対する第一の要望が、医療や社会保障の充実にあることを示し続けている。医療費負担の議論は、不安に苦しむ「世代間」に向けるより、先進諸国中でも異例の低水準負担を志向し続けてきた、これまでの国政にこそ向けられるべきだろう。

新制度を待つ間にも、「後期高齢者」へのより重い負担と貧しい給付の差別は続く。旧老健への復帰が、新制度移行以上に行政の手間と混乱をもたらすものなのか、「現実的」な説明は、社説にも政府にもない。

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